二世帯住宅はデメリットだらけ?その理由とメリット&快適に暮らすためのポイント

「二世帯住宅で暮らすことはデメリットばかりというのは本当?」
「二世帯では快適に過ごすことはできない?」

二世帯住宅を選択することで、家事や子育ての負担を減らしたり光熱費を抑えられたりなどのメリットを得られます。しかし2つの世帯が一緒に暮らすことで、生じるデメリットもあります。

二世帯住宅を選択する際は、メリット・デメリットの両方を把握し、デメリットばかりが気になってしまわないようにポイントを押さえて家づくりをすることが大切です。

この記事では、二世帯住宅におけるメリットデメリットと、二世帯住宅で快適に暮らすためのポイントを解説します。

二世帯住宅を成功させた事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

「二世帯住宅はデメリットだらけ」と言われる理由とは?

二世帯住宅イメージ

二世帯住宅がデメリットだらけ、とされる理由は何なのでしょうか。二世帯住宅だからこそ生じるデメリットを解説します。

プライバシーが確保しづらい

二世帯住宅では家族同士の生活の距離が近くなるため、プライバシーの確保が難しくなります。

たとえば夫婦の会話が両親に筒抜けになってしまったり、共有スペースに私物を置きにくかったりなど、別居世帯であれば感じることのないストレスが生じる可能性があるでしょう。

お風呂を共有している場合は、どちらかの世帯が入浴中は洗面所を使いにくい……といったこともあるかもしれません。

お互いの生活音が気になる

世帯ごとに生活リズムは異なります。

親世帯が早朝から活動を始める人たちの場合、まだ寝ていたい子世帯にとって親の朝の生活音が気になることもあるでしょう。逆に親世帯からすれば、夜遅くまで起きている子世帯の生活音にストレスを感じるかもしれません。

また、トイレやお風呂など水回りの音に気をつかったり、扉の締める音が「バタン!」と大きな音を立てることにフラストレーションがたまったりすることも、考えられます。

来客者を招きにくい

自分たち以外の家族が住んでいる二世帯は、一世帯の家よりも来客者を招きづらい環境です。招かれた来客者も、別世帯が住んでいることに気を遣う可能性があります。

他世帯のいない時間に招くのも良い方法ですが、それでは日にちや時間が限定されてしまうことに、ストレスを感じてしまうことも考えられます。

建築コストがかかる

二世帯住宅は単世帯住宅と比べると広い間取りが必要になるため、一般的な間取りの戸建と比べると建築コストが高額になりがちです。それぞれの固有スペースが多ければ多いほど、建築コストは高額になるでしょう。

ただし親と子世帯それぞれの家を立て替えたり、二戸を別々に購入したりすることに比べると、二世帯住宅として1つの家を建てた方が安価で済むケースも多くあります。

お金のことでもめやすい

「生活費と住宅ローンは子世帯」「光熱費と固定資産税は親世帯」といったふうに、生活に関わる費用を折半している二世帯家庭もあります。

負担しなくても良い支出がある反面、どちらかの支払いが滞ったり費用バランスが崩れたりすればトラブルに発展するリスクが生じます。

また、相続トラブルも二世帯家庭では頻出する問題です。親世帯からすれば「一緒に暮らしていない別の家族にも十分な相続を与えてやりたい」と考えるかもしれません。
しかし子世帯からすれば「一緒に暮らして介護や日常生活の世話をするのは自分たちなのだから、相続は優先されるべきだ」と思うのも自然なことです。

お金のトラブルは後々大きな問題へと発展する可能性もあるため、事前にしっかり話し合いをし、無用な争いを避ける方法を考慮しておくことが大切です。

家事・育児の負担割合でもめやすい

二世帯家庭では家事や育児のサポートを親世帯が行うことが多いですが、その分担割合が曖昧だと、不満が生まれることもあります。

また、お互いの家事や育児のやり方に納得がいかず、フラストレーションがたまることもあるでしょう。ライフスタイルの変化に伴い、これまでの分担割合では生活の負担が増えてしまうケースも考えられます。

家事・育児の役割分担は事前に話し合いをするだけでなく、定期的に内容を見直し、生活状況に応じて再配分することが大切です。

売却が難しい

二世帯住宅は特殊な間取りであるため、将来の売却が難しい可能性があります。

いずれ手放すことも視野に入れて、二世帯住宅をつくる際はシンプルなデザインを取り入れたり、リフォームしやすい構造を選んだりして、売却の可能性を高めておくと良いでしょう。

二世帯住宅で得られるメリット

「二世帯住宅はデメリットだらけ」と言われることもありますが、メリットも豊富です。

ここからは二世帯住宅で得られるメリットをご紹介します。

子育て・家事の負担を減らせる

二世帯で暮らすことの大きなメリットは、子育てや家事のサポートを得られる点です。

共働きで両親が夜遅くまで働いていても、子どもの世話を見てくれる家族がいることで、安心して仕事に集中できます。また、家事の負担も減らせるため、仕事と家庭の両立もしやすくなるでしょう。

子世帯が仕事に集中し収入が増えることで心にもゆとりができ、生活の豊かさが増すかもしれません。

光熱費などの負担を抑えやすい

水道やガスなどをそれぞれの世帯でまとめて契約することで、基本料金の削減ができます。

キッチンや洗濯機、お風呂などの設備を共有して使用すれば、使用量も抑えられ、ランニングコストの低減につながります。

防犯面で安心

二世帯住宅は家の中に人がいる時間が長い傾向にあるため、家の中が空っぽになる心配はほとんどありません。

常に誰か家の中にいることで、空き巣や泥棒などの被害から家を守りやすくなります。

介護の負担を抑えられる

将来、親世帯の介護が必要になった際、同居していることで訪問のための時間や交通費などの負担を減らすことができます。また二世帯の家づくりの際に、介護を想定した設備や間取りにすることで、生活のサポートもしやすくなるでしょう。

さらに子世帯が一緒に暮らすことで生活にハリや刺激が生まれれば、親世帯の介護生活の開始を遅らせることにもつながるかもしれません。

介護生活の負担が少ないことで、子世帯も仕事を辞めたり時短勤務を選んだりする必要がなくなり、経済的なメリットも得られます。

二世帯住宅で後悔をしないためのポイント

住宅購入契約イメージ

二世帯住宅を建てるにあたって、後悔をしないためのポイントを把握しておきましょう。

「完全分離型」の二世帯住宅を検討する

プライバシーの確保と快適な生活を両立させるためには、「完全分離型」の二世帯住宅が理想です。

完全分離型とは、同じ敷地内に二世帯の家を建てるスタイルの二世帯住宅のことをいいます。
玄関やリビングなどの住まいの一部分を共用する「一部共用型」や、分離スペースが一切ない「完全同居型」と違い、完全分離型の二世帯住宅は両世帯でシェアする屋内空間はありません。

そのためお互いの生活のプライバシーを確保しながら、それぞれの世帯の距離が近いことによるメリットを得られます。

完全分離型はその他の二世帯住宅のスタイルと比べると、建築コストが高くなりますが、長期的な快適さを考慮すると、有効な選択といえるでしょう。

お互いの暮らし方をよく把握して家づくりをする

二世帯住宅を成功させるためには、家族それぞれの生活リズムや価値観を理解し家づくりに反映することが大切です。

例えば子世帯の帰宅時間が遅く、それによって親世帯の睡眠が妨害されてしまう場合は、親世帯の部屋は玄関から遠い場所に設置するといった配慮が必要です。

また、所有する物の数も世帯によって異なります。それぞれの私物が十分にしまえるような収納プランも求められます。

快適な住環境を実現するためには、お互いのライフスタイルを洗い出し、重視するポイントを押さえて家づくりをすることが大切です。

お金のことに関する話し合いをしておく

お金の問題は二世帯住宅におけるトラブルの原因になりやすいため、事前にしっかりと話し合うことが大切です。

光熱費や食費などの生活費の負担割合はもちろん、相続に関する取り決めなども明確にしておきましょう。

また負担割合はきっちり両世帯で二等分にするのではなく、それぞれの収入や将来の見通しなども考慮することで、生活における金銭的な負担を軽減できます。

家事のルールは話し合っておく

家事の分担も二世帯住宅で快適に暮らすための重要なポイントです。

料理や掃除、洗濯といった日常の家事に加え、ゴミ出しや庭の手入れといった「名のない家事」も含めてルールを決めておきましょう。

また子どもが大きくなったり、子世帯の転職や親世帯が習い事を始めたりといったライフスタイルの変化に伴って、それぞれの家事負担が大きくなることも考えられます。

家事負担の割合は定期的に話し合い、現在の生活に合わせて内容を見直すことが大切です。

二世帯住宅の成功事例

二世帯住宅を作る際は、実際に二世帯住宅で成功している事例を参考にすると良いでしょう。

ここからは二世帯住宅の成功事例を紹介します。

それぞれの世帯が心地よく暮らす二世帯住宅

アイウッド建築事例

こちらは玄関やお風呂、リビングなどを共有スペースとした二世帯住宅です。家族が集まるリビングは広く設けており、親世帯が使用する小上がりになった書斎も設置されています。

詳細:二世帯で暮らす珠玉の家

2階のホールにはセカンドリビングが配されており、子世帯だけでのんびり過ごしたいときに活用しています。二世帯そろっての団らんもそれぞれの世帯の時間も大切にできる、両家族への思いやりが詰まった住まいです。

プライベートな空間を楽しめる二世帯住宅

アイウッド建築事例

こちらの住まいはリビングの横に小上がりの和室空間を設け、1つのリビングで二世帯がそれぞれの時間を過ごせるよう、工夫が加えられています。

各ファミリーの時間を大切にするためのアイデアが、さまざまな箇所に設けられた二世帯住宅です。

書斎

アイデアのうちの1つが、2階の寝室にあります。1階は親世帯がメインで使用するスペース、2階は子世帯のスペースで区切られており、2階寝室は子世帯の空間です。

この寝室はウォークスルークローゼットとつながっており、その先には書斎を設置。「寝る」「着替える」「仕事・趣味」に関する生活導線が、親世帯に干渉しないようにつくられています。

詳細:「安心して暮らす」家族の絆を結ぶ同居型二世帯住宅

まとめ|計画をしっかり立てることで二世帯住宅も快適に!

二世帯住宅は家族の助け合いや経済的な負担軽減など多くのメリットがある一方、プライバシーや生活音、金銭トラブルといった課題もあります。

「完全分離型」を取り入れたり、生活音や家事・金銭面のルールを事前に話し合ったりしておくことで、デメリットを感じさせない快適な暮らしを実現することが可能です。

将来のライフスタイルの変化にも対応できる柔軟な間取りを考え、家族全員が満足できる住まいを目指しましょう。